2017年4月6日木曜日

断崖

   断崖

断崖の無い風景ほど怠屈なものはない

僕は生活に断崖を要求する
僕の眼は樹木や丘や水には飽きつぽい
だが断崖には疲れない
断崖はあの 空 空からすべりおちたのだ

断崖!
かつて彼等はその風貌を見て昏倒した
僕は 今
断崖の無い風景に窒息する


Wikipediaによると、垂直もしくは垂直に近い傾斜の地形である「崖」(がけ、Cliff)のうち、特に切り立った規模の大きな崖が「断崖」。

日本の宅地造成規制法施行令では「地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地」が崖とされていて、世界で最も高い崖は、高さ1010mもあるハワイのモロカイ島・カラウパパの海食崖だそうです。

十三郎は自著『奇妙な本棚』の中で「わたしにとって、詩というものは、非日常的な不安定な危険な状態や恐怖感がそれなりに一つ秩序のごときものをかもしだすとき、そこに生れるある精神的緊張感、それと大へん近いようなものなのである」といっています。

「樹木や丘や水には飽きつぽい」「僕の眼」にあっても「断崖には疲れない」といいます。疲れないどころか「断崖の無い風景に窒息する」とまでいいうのです。十三郎の詩論を端的に表現しているようにも思えます。

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