2017年5月1日月曜日

明日

   明日

古い葦は枯れ
新しい芽もわづか。
イソシギは雲のやうに河口の空に群飛し
風は洲に荒れて
春のうしほは濁つてゐる。
枯れみだれた葦の中で
はるかに重工業原をわたる風をきく。
おそらく何かがまちがつてゐるのだらう。
すでにそれは想像を絶する。
眼に映るはいたるところ風景のものすごく荒廃したさまだ。
光なく 音響なく
地平をかぎる
強烈な陰影。
鉄やニツケル
ゴム 硫酸 窒素 マグネシウム
それらだ。


「イソシギ」=写真、wikiから=全長20cm。喉や腹が白く、頭から背、翼は緑褐色で、胸の脇は灰褐色をしています。翼をたたんだときの翼角に白色が食い込むように見えます。翼を震わせるような飛び方をするときなど、翼を広げると上面に白い帯が現れます。

湿地や泥地の虫や小魚を食べて暮らしています。「チーリーリーリー」と細く特徴のある声でさえずります。歩くときに尾羽を頻繁に上下に動かすのが特徴です。和名は磯鷸、属名Actitisは古代ギリシャ語で「海岸に住む」の意があるaktitesに由来しますが、日本では淡水域に多く見られ、海岸で見ることはあまり多くはないようです。

大阪を中心に、西宮、神戸、堺、和歌山の大阪湾岸から茨木、守口などの内陸にまで広がる広がる阪神工業地帯は、明治期には綿糸や綿織物、メリヤスなどの繊維工業、肥料、製粉、製紙、マッチ工業が盛んでしたが、第1次世界大戦を契機に重化学工業が発達して総合工業地域となり、戦前、日本最大の工業地域となっていました。

「重工業原」というのはまさに十三郎ならではの言葉です。

*さきの「葦の地方」では絶滅するノジギクが圧倒的な巨大な想像を絶するものに立ち向うモメントとなっていたが、この作品では、想像を絶する荒廃に立ち向うモメントは「明日」という題であるだろう。この作品は「葦の地方」と表裏をなしている。

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