2017年5月12日金曜日

風景(八)

   風景(八)

遠いところで
泥海のはなに出た。
海からくる風にはかすかな硫酸銅の臭気がまじつてゐた。
煤煙のきれ目から
爬虫の鱗のやうに無気味な煙突の肌が見えた。
或は人の人生をもつてしても達し得ない
地球の裏側よりも遠いところに
私は出た。


「爬虫」類は、石炭紀に現れ、中生代(約2億5217万年前~約6600万年前)に繁栄した動物群で、進化の系統では両生類と鳥類・哺乳類の中間に位置します。皮膚を保護する鱗をもち、陸上に卵を産むことで、地上のほとんどの場所で活動できるようになり、形態が多様化しました。

現生種はカメ目、ムカシトカゲ目、トカゲ目、ワニ目に分けられますが、恐竜類や翼竜類などのようなすでに絶滅したものもたくさん含まれます。

体はふつう角質の鱗でおおわれ、ほとんど腺がありません。体の大きさは、体長約 35mmのヤモリの仲間から9mに達するアナコンダまでさまざま。現生のカメで最大のオサガメは,体重が 600kgをこえるそうです。

ヘビ類と一部のトカゲを除いた爬虫類は四肢をもつが,体側から側方に突き出てから下方に曲っているため、前進するとき左右にも体が揺れてしまい運動の効率は良くありません。けれど、ワニ類やトカゲ類は体を持上げてけっこう速く走ることができます。樹上性のニシキヘビやカメレオンは、尾を枝に巻きつけて体を保持し、移動します。

世界で 6000種余が知られ、温帯から熱帯にかけて広く分布しています。しかし食用あるいは皮革製品用に狩猟され,これまでに多くの種が絶滅しました。ごく一部の限られた地域を除き、人間に危害を加える有毒な種はほとんどないそうです。

*この作品ではじめて「爬虫の鱗のやうに」という表現があらわれる。現実の風景からずいぶん遠くまでやってきたことをこの一句はあらわしている。つまり「地球の裏側よりも遠いところに」出たわけだ。この遠くまでやってきたこともまた小野の風景詩を変質させずにはおかない。爬虫類とか羊歯とかいう語句がたびたびあらわれるようになる。《安》

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