2017年5月22日月曜日

葦の地方(五)

   葦の地方(五)

風の中に
煙がみだれる。

おれが草だつて。
むしろ鉱物だよ。
地に突き刺さつた幾億千万本のガラス管(チユーブ)

ひよつとすると
ああ、これはもう日本ぢやないぞ。


ふつう、溶融法でつくられた、ケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩など無機酸化物で、非晶質固体状態にあるものをガラスと称します。

地球上に初めて現れたガラスは、自然がつくりだした黒曜石といわれます。火山から噴出した溶岩が急冷されるとガラス質になるものがあります。光沢があり、割れやすく、薄い部分は光にかざすと深い紫色に見えたりします。

紀元前1世紀ごろ、軟らかいガラスを鉄パイプの先に付け吹いて中空の器をつくる技術が現れました。しかし日本では明治時代になるまで、日常生活のなかにガラスが取り込まれることはありませんでした。

ガラスの特徴の一つに、成形、加工しやすく、菅状、板状、瓶状など、自由な形状をつくることができる性質があります。

蛍光灯のような「ガラス管」は、溶けたガラスを回転する円筒の周囲に巻き付けて融着させた後、円筒内部にガスを送りながら円筒周囲のガラスを引っ張ることによって管状に成形するそうです。

*ここにおいて葦はもはや植物ではなくてむしろ鉱物、幾億千万本のガラス管と化している。「風景(八)」で小野は「人の一生をもつてしても達し得ない地球の裏側よりも遠いところに」出てしまったが、ここでは小野は「これはもう日本じゃない」ところへ出てしまう。《安》

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