2017年5月30日火曜日

露天掘

   露天掘

かつてここに
山があつた。
鬱蒼として樹々は茂り
千古の靄につつまれてゐた。
かつて山であつた大空間。
これがその周壁だ。
腑分けされた肉体のやうに無慚な
鉛色の段丘を
天日に曝してゐる。
ヒンガム。メサビ。
キルナヴァーラ。
夢にくる日本の山も
かくのごとくあれ。


「ヒンガム」は、中国東北部の地名か。満州語で丘陵を表すヒンガンの漢字転写に由来します。中国語読みではシンアンで、この名がついた山脈に、南北約1200kmに及ぶ満洲・内モンゴルの火山山脈だる大興安嶺山脈などがあります。

「メサビ」は、メサビ鉄山=写真、wiki=のことか。米ミネソタ州、スペリオル湖西岸を東北東から西南西に走る約180kmの細長い丘陵性山地。米国最大の鉄鉱産地として知られます。

「キルナヴァーラ」は、スウェーデンで最も北に位置する都市、キルナ市にある鉄鉱山。

*『日本詩人全集』第26巻(新潮社)の解説で長谷川龍生はこの作品について「俳句的な対象への断絶感をもちながら、一つの現実の流れに対する抵抗体として、むだなものが一切排除されている。過去と未来が同次元にとらえられ、その次元が厳然として不動の思考現実として存在する個のあり方が、ありありと窺えるようだ」と述べている。《安》

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