2017年5月31日水曜日

   山

山がある。
それはやや富士に似てゐる。
あるひは富士そのものかもしれぬ。
含銅硫化鉄の大コニーデ。
夏日天を仰げば全山の岩肌黒光り。
はげしく水墨に抗して
靄を吐かず。


「含銅硫化鉄」は黄鉄鉱を主体とし、黄銅鉱などを含む硫化鉱物の集合体。玄武岩質火山岩類に伴い、層状をなして産する含銅硫化鉄鉱床をキースラーガーといいます。普通1~2%の銅を含み、亜鉛も数%に達することもあります。中央構造線の外帯に接する三波川変成帯に多く見られ、かつては日本の主要な銅の供給源でした。

「コニーデ」は、円錐状の火山、成層火山のこと。ある火口を中心に、爆発によって放出された岩塊、礫、灰などと、流出した溶岩が幾重にも積み重なって形成された火山。安山岩や玄武岩からなる火山に多く、富士山、岩手山、開聞岳、伊豆大島、羊蹄山=写真、wiki=など日本の火山の大半を占めます。山体の傾斜は、麓では緩やかでですが、中腹では20~25度、頂部では30度、ときには40度に達することもあります。

*『物の言葉』(せりか書房)中の小野十三郎論のなかで高良留美子はこの作品について「物質の主体化、あたらしい意味での物質の精神化に成功しているといえるだろう。新しい人間主体の対応物としての人間主体が、そこにとらえられ、表現されているのだ」と述べ、さらに、ボードレールともシュールレアリストともちがった、外界のなかでの人間と物質との対応関係が「山」においてとらえられていて、それは「外界との関連を失った『精神』や『内部』のうちに閉じこもらない眼、それ自体一個の客体となることを通して世界に働きかける詩人の眼と主体によって、はじめてとらえられた関係」だと述べている。《安》

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