2017年6月20日火曜日

街で

   街で

  芽芹

女が芹を摑んできて売つている。
ぱらぱらとほぐして山に盛つて。
それはあまり遠くない郊外の
泥溝(どぶ)の中を取りつくしたという感じだ。
地平には大風車など見えない。
乾いた泥に
変色した原生虫(ユーグレナ)がこびりついているだらう。

   蜆

しじみもあんなに大きいのは
海と川の境にしかいないのだ。
夕波の白くくだける方に。
人は熊手や泥搔きのようなもので
 (すでにそれは巨人の機械力だ)
ごつそりさらつて持つてくるのだ。

  兎

アンゴラ兎が三匹。
妖婆の手籠の中にゐる。
おや、こゝはお伽話かな。


「原生虫(ユーグレナ)」、ユーグレナといえば、ミドリムシのことです。体内に葉緑体をもち、光合成を行うという点では植物ですが、体を包む細胞壁がなく、鞭毛で遊泳する点では動物ともいえる単細胞生物です。

多くは細長い紡錘形で、体の先端に貯胞とよばれる大きな穴があり、その底から長くて太い鞭毛が出ています。貯胞は収縮胞からの排水場で、物を食べる口ではないそうです。

世界で約150種ほどが知られ、湖沼、池、水たまりなどの淡水域に広く分布します。多くは、清水より有機物を含む汚れた水で生育します。とくに夏に大発生したとき、いわゆる“水の華”の状態になります。

「アンゴラウサギ」=写真、wiki=は、ウサギの一種。トルコのアンカラ地方が原産で、フランスで毛用種が作り出されイギリスでさらに改良されました。耳が短く、全身が12~15センチに達する柔らかく美しい毛で覆われている。

毛色は白色、灰色、黒色、褐色とさまざまですが、白色が毛用として好まれます。毛は年に3~4回採ることができ、毛糸や織物などに用いられます。

*やはり『奇妙な本棚』で述べているのだが、小野は芽芹を売っている女の手に河口の蜆を全部とりつくせるほどの巨大な熊手をもたせたり、兎を売っている老婆をお伽話の魔法使いにしたてあげたりしてみたのだ。小野はつづけて「例によってわたしは、見たままの現実から空想への次元の転移をやっているけれども、けっきょくのところそれははかない詠歎なのである」と述べているが、これは小野の「夢」の方法をあてはめるにも当時の生活感覚があまりに異常に小野をとりひしいでいたといえよう。《安》

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