2017年6月21日水曜日

   犬

犬が口を開いて死んでいる。

その歯の白くきれいなこと。


「犬の歯」は、歯は42本(21対)あり、32本(16対)の人や、28-30本のネコと比べると、顎が長いぶん歯の数もたくさんあります。人と比べて、切歯が上下各3本、前臼歯(小臼歯)が各4本と多く、後臼歯(大臼歯)は上顎2本、下顎3本と少ない。犬歯(牙)のほかに、裂肉歯と呼ばれる山型にとがった大きな臼歯が発達しているのも特徴です。この歯はハサミのように肉を切る働きをし、犬は食物はあまり咀嚼せずに呑み込んでしまいます。

敗戦の際、戦争に使われた軍犬は戦地に遺棄され、国内に無事に帰還出来たのは僅か数頭に過ぎなかったといいます。一方で、国内に残された訓練中の犬も日本軍の解体で行き場を失い、戦後の食糧不足の中、口減らしのため殺処分されたり、食料として市場に放出されるなど悲惨な末路をたどったようです。

敗戦直後、餓死などによって、犬さらには人間が「口を開いて死んでいる」光景を目にすることは、決して少なくはなかったのでしょう。

*この短い印象的な二行にしても例外ではないのであって、小野は自作解説で次のように書いている。「実は、これは犬ではなく、人間なのである。飢死した人間が口をあいて死んでいるのである。私は、敗戦直後、実際にそんな悲惨な光景を、駅の地下道などでしばしば目撃した。筵をかぶせてあったが、私は、詩の行為の上で、その筵をはいだのだ」(『現代詩鑑賞講座第一巻・詩とは何か』角川書店)

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