2017年7月11日火曜日

落葉

   落葉

山では
芒つ原が
ほんとうの黄金色に照り映えている。
宇宙の外に吹つとんだか
小鳥の啼き声もしない。
しんしんとした山中で
高い梢から
最後の葉が枝をはなれるさまは
天から一ひらの羽毛が舞いおちてくるような
何かが爆発したあとに似ている。
地に達してはじめて
それは終わるのだ。


「芒」(すすき)は、イネ科の多年草。秋の七草の一つです。高さ1~2メートルに達し、8~10月、稈頂に花序を出します。北海道から沖縄、朝鮮半島、中国に分布、平地や山地の日当りのよい地に群生します。

集落の近くや焼け跡に自生するため、稈の根元から刈り取って屋根を葺く材料とし、古くからカヤ(茅)とよんで利用しました。茅葺き屋根の大部分は、この植物を乾かして使用します。炭俵、草履、箒などにも利用されてきました。

『古今集』には秋の代表的な景として「秋の野の草の袂(たもと)か花薄(すすき)穂に出(い)でて招く袖(そで)と見ゆらむ」(在原棟梁)とあります。また、コメ、ムギなどイネ科の植物の小穂の先端にある棘状の突起のを、芒(のぎ)といいます。

天から舞いおちてくる「一ひらの羽毛」というのは、天使の翼の羽毛がイメージのどこかにあるのでしょうか。

「最後の葉が枝をはなれるさま」が「何かが爆発したあとに似ている。/地に達してはじめて/それは終わるのだ。」というと、やはり、小さな原子の核分裂反応がもたらす莫大なエネルギーによって大きな被害をもたらした原子爆弾が連想されます。

*小野はものにつけ、ことにつけ、心動かすというタイプの詩人ではない。だが、とるにたらぬとおもえるほどのことに小野の心が動くとき、そのときそこには事件があるのだ。小野の短い詩に一瞬の力技のごときものがあらわれるときがある。「群雀」にしても「落葉」にしてもその好例といえよう。《安》

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