2017年7月2日日曜日

小鳥の国

   小鳥の国

グワツときた音。
グワツときたその向うがわは
いや、もうその音の中が
小鳥の天国だ。
黒い湖をかこんで
糸杉かなんかの森が見える。
そしてきみはそこですでに
あおじのようなかれんなものになつてしまつている。
ぼくはいつかこんな映画を見たことがある。
それはフランスの映画だつたが
生と死の境に一枚の大きな鏡が立てかけてあつて
みるみる水面のように小波立つたその鏡の中へ
白い手袋をはめた一人の若者が
何かをまさぐるような手つきで
はいつてゆくのだつた。

しかしきみは極めてかんたんだ。
夜の明け方。少しばかりはがねの匂いのする地面にうつ伏せになつたまゝ
きみははいつていつた。小鳥の国へ。
きみのからだの上に向つて
しやにむにばく進してくる重量音の
その中から!


「小鳥」は、ふつう漠然と小形の鳥をさしていい、どの程度の大きさかは人によって異なりますが、メジロ、ブンチョウ、ジュウシマツなど全長約10センチメートル以下のものをさすことが多いようです。ただし、ウグイス型やスズメ型でない、シギ、チドリ、インコ、ハト、カワセミ、キツツキなどの鳥でも小形なら小鳥とよぶ人がいる一方、そうした体型の鳥はいくら小さくてもそう呼ばない人もいます。

「あおじ」=写真、wiki=は、スズメ目ホオジロ科。全長 14~16cm。雄は地色が頭部から背、肩が暗い灰緑色、翼や腰は茶色、背、胸腹部は黄緑色で、肩や翼、胸、脇に黒い縦縞があります。

尾羽は両端の二枚が白く、ほかは褐色。雌の羽色は全体に雄より淡い。シベリア東部、中国東部、サハリン島、千島列島、日本のほか、中国雲南省北部と湖北省から甘粛省にかけて繁殖します。

日本では北海道の平地の原野や林と、本州中部以北の山地や高原で繁殖します。巣はわん型で、林縁の地上や灌木の低い位置につくり、繁殖期には昆虫類や草の種子をとります。冬季は本州中部以南の低地や山麓に移動し、疎林や林縁、低木の茂み、農耕地などにすんで、おもに草の種子を食べます。

*小鳥の国とはなにか。そして小鳥の国へはいっていくとはどういうことか。それは「死の国」であり「死ぬ」ということであるだろう。それはどんな死なのか。「きみは極めてかんたんだ」という云い方、「少しばかりはがねの匂いのする地面」という表現、「きみのからだの上に向つて/しやにむにばく進してくる重量音」という表現からは、当然戦争の臭いがしてくる。「きみ」の死はだからbe killedなのだ。戦場で「きみ」は殺されたのだ。一人の若者の死に対する鋭い痛みのような悲しみに溢れた作品である。《安》

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