2017年7月7日金曜日

爆心地の鳩

   爆心地の鳩

土砂ぶりの
雨の中に
くくと鳩が啼いていた。
爆心地にすみついた鳩のなきごえだ。
日暮までまだ間があるのに
あたりはうすぐらい。
物産陳列館の円屋根には大きな穴があいていて
雨はそこからようしやなくふりこんでいた。


「爆心地」は、ふつう原子爆弾など核兵器の爆発の中心地をさします。現在、広島の原爆の爆心地は、相生橋の南東、島病院であると考えられています。1969年に行われた調査によると、東経132度27分29秒、北緯34度23分29秒、高度580メートルが爆心であるとされています。「物産陳列館」(原爆ドーム)は、爆心地から西へおよそ200メートルの地点にあります。

「物産陳列館」=写真、wiki=は、広島県広島市中区大手町にあった建物で、いまでいう原爆ドーム。広島湾に流れる太田川河口の三角州にあって、1915(大正4)年に建てられた広島県産業奨励館(当初の名称が広島県物産陳列館)が、1945(昭和20)年、広島に投下された原子爆弾によって破壊され、鉄骨をむきだしにした天井ドームとレンガの壁だけが残っています。

煉瓦と鉄筋コンクリートで造られた3階建てで、正面中央の階段室を5階建てドームとしていました。第2次世界大戦後、危険建造物の撤去が始まるなかでその存廃が議論されましたが、撤去は取り止められて「原爆ドーム」と呼ばれるようになりました。

この詩が作られた後の1966(昭和41)年に、広島市議会は原爆ドームの永久保存を決議しています。第2次大戦末期における原爆投下の歴史的事実と人類史上初めて使用された核兵器の惨禍を伝える遺跡で、核兵器廃絶と恒久平和を求めるシンボルとなってきました。

*爆心地ということで、この詩の読者の磁石の針は案外容易に一定の方向を指すのではないか。だが注意すべきは、この作品もまた前出の二・三の作品と変りのない手つきで書かれていることである。鳩がえがかれているのではない。雨がえがかれているのではない。鳩に雨に向いあっている人間の存在のあり方が読者に問われているのだ。

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